2009年07月07日

八幡堀&彦根城 視察

先週末の土曜日、京都市未来まちづくり100人委員会 【 城と堀川チーム 】 のメンバーとともに、近江八幡市八幡堀 ) と 彦根市彦根城 ) へ視察に行ってきました。

京都市未来まちづくり100人委員会 とは、京都の未来へ向けたまちづくり政策 を話し合い、京都市への提言市民による行動 を行なうために市長によって設置された委員会です。 ( 過去の記事は その1その2 へ )

若村が議長を務める 【 城と堀川チーム 】 は、二条城 ( 京都市所有 ) と 堀川 ( 2009年3月末に水の流れが復活 ) を中心とする新しいまちづくりを進め、さらなる観光客の誘致と地域の活性化を行うために提案して結成されたチームになります。 ( 詳しくは最後の追記をご覧ください )

週末の土曜日、朝8時に京都市役所前に集合して、まずは近江八幡市・八幡堀へと向いました。

八幡堀&彦根城 視察

近江八幡市の八幡堀は、かつて豊臣秀次が建設した城を中心として繁栄し、近江商人が活躍する大規模な城下町でした。 その城下町には琵琶湖の水を引きこんだ八幡堀があり、近江商人が水運で物資を往来させる水運交通の要衝として町の発展を支えました。

しかし、近代化する中で次第に八幡堀はその役目を失い、生活排水が流れ込み、八幡堀は荒れ果てていったそうです。 そんな中、八幡堀を埋め立てる計画が持ち上がったそうですが、「 堀は埋め立てたときから後悔が始まる 」 を合言葉に八幡堀の復活を願う市民団体が立ち上がり、住民主導の新しい町づくりが行なわれました。 そして見事に八幡堀は復活し、堀を中心とした魅力ある観光地として生まれ変わり、多くの観光客が訪れる町へと変遷を遂げていきました。

こちらが八幡堀。 堀を遊覧する観光船の乗り場です。

八幡堀&彦根城 視察

さっそく、このような観光船に乗ってみました。

八幡堀&彦根城 視察

町並みの景観もよく残されていて、市民みんなの意識の高さを感じました。

八幡堀&彦根城 視察

素晴らしい町並みの中に八幡堀があり、ゆっくりと遊覧船は進んでいきます。

八幡堀&彦根城 視察

八幡堀&彦根城 視察

河岸の菖蒲も、市民みずからが提案して植えられたそうです。 7月はすでに花が咲き誇る季節は終わっていましたが、満開の頃の写真を拝見すると、それは素敵な光景でした。

八幡堀&彦根城 視察

この辺りはかつて、近江商人の屋敷が立ち並び、堀の岸で船荷の積み下ろしが行なわれていた場所になります。

八幡堀&彦根城 視察

八幡堀&彦根城 視察

近江八幡とは、山麓に鎮座する日牟禮八幡宮 ( ひむれはちまんぐう ) に由来し、神社への参道入り口にあたる橋が見えてきました。

八幡堀&彦根城 視察

約40分の遊覧を終えて、次ぎは町並みを歩いてみました。
こちらは旧八幡郵便局で、ヴォーリズの設計によって1921年に竣工した建物で、1960年まで郵便局として実際に使用されていましたが、現在はギャラリーとして活用されていました。

八幡堀&彦根城 視察

さて、お昼は近江や近江八幡の名産が盛り込まれた定食をいただきました。

八幡堀&彦根城 視察

近江といえば、なんと言っても近江牛! んー、美味しかったです ( 笑 )

八幡堀&彦根城 視察

さて、八幡伝統的建造物群保存地区へと行ってみました。
この辺りはかつて京へ通じる街道にあたり、近江商人が屋敷を並べていた場所でもあり、現在でも歴史と由緒ある建築物が建ち並び、八幡伝統的建造物群保存地区に指定されています。

八幡堀&彦根城 視察

こちらが通称・京街道です。

八幡堀&彦根城 視察

近江商人の広大な敷地を持つ屋敷が建ち並んでいます。

八幡堀&彦根城 視察

さて、近江八幡の名前の由来にもなっている日牟禮八幡宮も参拝しました。

八幡堀&彦根城 視察

八幡神を祀るだけあって、神使の鳩が本殿前に鎮座していました。

八幡堀&彦根城 視察

八幡堀を中心とする町づくりの事例は、今後、京都の堀川を中心とした町づくりを考える上での大きな参考になると確信し、充実した視察になりました。

さて、今度は二条城を中心とした町づくりを考える上で参考にしたいと思っていた、彦根市の彦根城へと向いました。

彦根城といえば ≪ ひこにゃん ≫ です!

もう、すごい人気で、井伊家の家宝などを展示・所蔵する博物館で ≪ ひこにゃん ≫ が登場するイベントが行なわれていましたが、長蛇の列で、多くの観光客、とくに女性と親子連れを多く見かけました。 この日のイベントには週末・土曜日ということもあってかなりの人が押し寄せていて、ひこにゃんが登場する会場のキャパを越える人が訪れていたので、1度の登場時間に2交代制でお客さんを入れ替えしていました。 それほどの大人気です!

八幡堀&彦根城 視察

彦根市の担当職員の方と約1時間半にわたる会議でいろいろと質問をさせていただきまして、その後、彦根城へと向いました。

八幡堀&彦根城 視察

空から太陽が射し込み、彦根城が神々しく見えました!

八幡堀&彦根城 視察

八幡堀&彦根城 視察

彦根城からは、琵琶湖も望めます。

八幡堀&彦根城 視察

奥の山が佐和山で、彦根城が築城される以前に佐和山城があった場所です。 佐和山城といえば石田三成の居城ですが、三成が関ケ原の合戦で敗れると廃城となり、新たに井伊直政がこの彦根城を築城しました。

八幡堀&彦根城 視察

こちらは彦根城址への出入り口のひとつにあたる京橋で、この辺りが京橋口と呼ばれていました。 京橋口は大手門口へ通じる出入り口にあたり、大坂の陣が終わるまでは彦根城の正面としての機能を果たしていたそうです。 京都方面へ向かっていることから “ 京橋 ” という呼び名が付けられたそうです。

八幡堀&彦根城 視察

京橋口の石垣をよく見ると、石垣の隙間に釘が刺さっているのがわかります。 なんでも昔から、石垣の隙間に釘を刺すと歯の痛みが治ると言い伝えられているそうです。

八幡堀&彦根城 視察

八幡堀&彦根城 視察

さて、京橋を渡って、門前町の景観を重視して町づくりが進めれた町並みへと歩んでいきました。

八幡堀&彦根城 視察

八幡堀&彦根城 視察

かつてはこの辺りは細い道の両側に古い町並みが残る場所でしたが、新しい彦根城の城下町の姿を模索する中で、区画整理されて新しい町並みを生み出し、多くの観光客が訪れる素晴らしい観光地へと変貌を遂げていきました。

こちらが、この辺り京橋口の古写真です。

八幡堀&彦根城 視察

もちろん、当初は立ち退きを伴う区画整理を行なうことへの反対も根強くあったそうですが、それでも粘り強く対話の中で計画が推し進められたそうです。 そして道幅は大幅に広がり、その両側に広い歩道が設けられ、景観に対して一定のルールを決めて統一感のある町並みを生み出し、城下町を基本とする観光地が誕生していました。

八幡堀&彦根城 視察

八幡堀&彦根城 視察

ペットショップも、城下町風の建物になっていました。

八幡堀&彦根城 視察

道路に設置された機材も、格子状の覆いをすることで、町並みに自然と馴染み、まったく目立ちませんでした。

八幡堀&彦根城 視察

彦根城の事例も、今後、二条城を中心とした町づくりを行なう際の大きな参考になりそうで、充実した視察となりました。

さて、委員会では八幡堀と彦根城の視察を行なった上で、二条城と堀川を中心とした町づくりの計画を今後いかに練り上げていくか、委員会のメンバーの皆様とさらに討論を重ねていき、計画を進めていきたいと思っています。

また、機会があれば随時、計画の進捗などをご報告をしたいと思います。 皆さんからもどしどしとご意見をお寄せください、参考にさせていただきまして、より良い計画を作っていきたいと思っています。

  ↓ 京都市未来まちづくり100人委員会 【 城と堀川チーム 】 概要

京都市未来まちづくり100人委員会 【 城と堀川チーム 】
≪ 二条城と堀川を軸にする まちづくり ≫

■ 目的 ■
二条城( 京都市所有 )と 堀川( 水の流れが復活 )を中心とする新しいまちづくりを進め、二条城・堀川・西陣界隈に < 町なか観光 > < 堀川周辺を歩いて巡る観光 > など新しい観光の形を定着させて魅力的な観光地とし、さらなる観光客の誘致と地域の活性化を行う。

■ 現状と将来 ■
京都市が所有する二条城は、年間約120万人の入城者数を誇りますが、観光客の目線で見直すと、城の景観を損ねる城前の駐車場、城らしい堀を隠すような高い生垣、周辺に土産屋や飲食店が少なく観光地になっていないなど多くの課題が挙げられます。二条城は歴史的・文化的価値の高い文化財であり、課題を改善して観光地としての魅力を磨くことでさらに入城者を増やすことができると考えています。

また、二条城の周辺に目を転じれば、2009年3月、長年の夢が現実となり、堀川に水の流れが復活しました。堀川はかつて豊富な水が流れ、船による水運のまちとして流域は栄え、今も堀川周辺には染織や和菓子など伝統的な産業と職人のまちが広がるなど、平安京以来の歴史と伝統が脈々と受け継がれています。水の流れが復活した今こそ堀川周辺のさらなる魅力を引き出し、堀川と地域の活性化を図る良いタイミングと考えています。また、二条城周辺にはアクセスの良い地下鉄東西線・二条城前駅があり、さらにJR山陰本線・二条駅周辺が再開発されるなど、二条城周辺は総合的な魅力を増しています。

東山や嵐山など市街地周辺部を訪れる観光客を、二条城の集客力を上げることでまちなかへと呼び込み、また二条城のみの“ 点 ”の観光にとどまらず、周辺地域を魅力的な観光地へと整備して観光客を堀川周辺や西陣界隈へと誘導して < 町なか観光 > < 堀川周辺を歩いて巡る観光 > を推進することで、二条城を中心とした“ 面 ”の観光を定着させ、周辺地域を活性化することができると考えています。

二条城周辺における新しい観光の形と地域活性化を図り、これをモデルケースとして将来的には他エリアにも展開し、京都全体において 新しい観光の形と地域活性化を広げていきたいと考えています。

※ 2009年4月末 中間発表時の資料より抜粋



Posted by 若村 亮  at 07:07 │Comments(2)

この記事へのコメント
近江八幡は関西で最初に住んだ町です。

町中にあった木造の図書館に出かけたりと
懐かしい思い出がいっぱいです。
今では観光客も増えて活気が出てきているようですね。
涼しくなったら散策しようと らく友のWさんと予定してますから
若村さんの画像は参考になりました。
Posted by biwako at 2009年07月09日 09:42
biwako さん、おはようございます。 東京からコメントです ( 笑 )
八幡堀はとっても素敵なところでした! ぜひ初秋の歩きやすい季節くらいがいいかもしれませんね。 今回は時間の関係で近江商人の大きなお屋敷の内部まで見学する時間がなかったんですが、今度訪れるときにはゆっくり巡ってみたいと思っていまーす! 若村
Posted by 若村 亮若村 亮 at 2009年07月11日 10:09
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